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【寅の子会】Vol.0『腕試しの巻』

2021年6月27日(日)に開催した【寅の子会】Vol.0『腕試しの巻』は熱演に次ぐ熱演で無事終了。
落語会の様子を振り返るレポートをお届けします。

【寅の子会】Vol.0『腕試しの巻』写真

雨が降るのを心配しながら迎えた寅の子会当日。
まずは与いちさんがオンタイムに会場入りして、 時閤差で朝枝さんも会場入り。ふたりで入念な高座チェックを行います。

おふたりにはオープニングトークをしていただ<旨を伝えてありましたが、座ってやるか立ってやるか、立ち位置はどちらが上手(かみて)でどちらが下手(しもて)にするかなど決め事はたくさん!
和気あいあいとじゃれ合いながら相談するふたりを見ているだけでスタッフは全員ニコニコ顔。さすがは叔父・甥っ子弟子という関係性とみんなが納得。一通りの流れを確認したらおふたりは連れだって楽屋へと行かれました。

お弁当を持ってひょいと覗いたら「何話しましょうか!」と段取りの相談中。
今回は『腕試しの巻』ということもあり落語に詳しくないお客様が多かったので、おふたり自身のプロフィールについてたっぷり話していただくことになったようです。

香盤は朝枝さんが上ですが、トークをグイグイ回すのは与いちさん!
そこに愛のあるボケとツッコミを重ねる朝枝さんがお兄さんのようで、やはりこのおふたりは名コンビになりそう、と確信したのでした。

【寅の子会】Vol.0『腕試しの巻』写真

『普段の袴』 春風亭朝枝

今回は朝枝さんから高座をスタート。一席目は『普段の袴』です。

朝枝さんファンのスタッフは全員朝枝さんの『普段の袴』が大好物。御成街道の説明が始まった途端に「ああ、『普段の袴』が来る!」と心の中でガッツポーズをしたはずです。

朝枝さんが演じるお武家さまといい八五郎といい、その形のいいこと!!
八五郎が“りゃんこ(二本差)が履いてる窮屈袋”(これが袴です)をを履き、往来に立った姿の、なんともバカバカしい感じも見事。

大家と八五郎、骨董屋の主と丁稚の定吉、八五郎との掛け合いはそれぞれの人物描写が丁寧で、ショートムーヴィーを見ている心持ちになりました!

朝枝さんは場面のカット割りが映画的だなぁ、といつも思います!表情や仕草の変化だけでなく場面転換がきっちりと行われるので、落語初心者にも「登場人物が変わったな」と分かりやすいのです。
大爆笑の『普段の袴』で場がすっかり暖まったところで、与いちさんにバトンタッチ。いよいよネタおろししたばかりの大ネタが始まります!

【寅の子会】Vol.0『腕試しの巻』写真

『船徳』 春風亭与いち

仲入り前にネタおろししたばかりの大ネタをかけてくださったのは、与いちさん。

「夏の噺ができればいいですね!」とインタビュー時におっしゃっていて、それが『船徳』であることもこっそり聞いていましたが、その時はまだまだお稽古中ということもあり内緒。でも本当にかけてくださってスタッフ一同大感激!!

しかもこの表情。与いちさんらしいですねぇ(笑)。与いちさんは感情の動きを見事なまでの表情の変化で表してくれるので、これまた落語初心者が迷子になることなく、噺に入り込みやすいのです。
高座から落ちるのでは?とお客様&スタッフ全員がハラハラしたほどのダイナミックな動き。観ていた全員が「若旦那、岸までもう少しだから頑張れ〜!」と心のなかで応援していました。

パラパラ漫画ができるほどの膨大な枚数を撮影したなかの、厳選5枚!!
与いちさんから承諾をいただいたので、寅の子会では『船徳・与いち編』のパラパラ漫画をつくろうかと思案中です︕

  • photo by SHITOMICHI
  • report and text by MIHO MAEDA