interview
春風亭朝枝×春風亭与いち
vol.10 第四回【前編】】
新たな会場に身の引き締まる思い!
そこに集う予定の多くのお客様と過ごす時間を想像し、すでにワクワク!
いよいよ生誕祭を迎える寅の子会は、いよいよ4回目。お誕生日というビッグイベントもありますが、それよりも今回は場所をひとまわりも、ふたまわりも大きく、港区伝統文化交流館へと移動させるとあって、おふたりのテンションも高め。実際に隅々まで会場を見ていただき、本番に向けてライトや高座のチェック、そして屋外、室内でと写真もたっぷりと撮ったところで対談をスタートしました!
――澤田写真館は私たちの永遠のホームグラウンドですが、今回からこちらの港区立伝統文化交流館も使えるようになりました! おふたりとも初めてこちらにいらっしゃったんですよね? 感想を聞かせてください。
与いち:素敵な会場ですね。今日は最高です。気持ちも晴れやかだし、心も穏やか。いい日ですねぇ。
朝枝:与いち、どうしちゃったの(笑)?
与いち:今日はステファン・カリーが怪我しちゃったので…
※ステファン・カリーについては、与いちさんの単独インタビューに詳細があります!
朝枝:何、それ(笑)。いや、本当に立派な建物ですよね。
与いち:ここは昔、見番だったんですよね。まさに踊りや芸事など、そういうことに使うために作られているわけですから……。こんなにいい会場はなかなかないと思います!
朝枝:澤田写真館さんもアットホームな感じで、好きなんです。あちらも良いですよね。
――こちらの会場は【100畳敷】と言われていて、舞台が30畳分、客席が70畳分あると聞きました。舞踊ができる広さですからね
与いち:踊りたくなるような感じです。いま、そんな気持ちです。ありがとうございます。
朝枝:与いち、本当にどうしちゃったの?(笑) 会場は本当に色々ありますけど、【場所】が持つ力みたいなのって実際にありますから。浅草の見番もそうですけど、なんだかシャンとするというかキリっとするというか……。
与いち:前に僕、色々会場について調べたことがあるんですが、小上がりというか、靴を脱いで上がる場所ってお客さんが良く笑うってあると思いませんか? 裸足……、実際には裸足じゃないけど、靴を脱いでいる状態はすごく開放感があるらしくって。
朝枝:へーー。そうなんだ。
与いち:そうだと思います。精神的な影響がすごくある気がします。何かで読んだことがあるんですよね……。あと、間口が横に広くないのもいいですね。あまり横広がりだと、どこまで上下(かみしも)を振っていいのか分からなくなっちゃうんですよね。
朝枝:あー、それ、分かる分かる!
――縦と横のバランスは確かに大事です。私は客席側からいつも拝見していますが、やはり会場によって落語会のイメージというか、印象が変わりますから。寅の子会も、少しずつ大きくしていきたいのでこちらも存分に使わせていただきたいと思っています!
ふたり:嬉しいです!ありがとうございます。
与いち:単純にお客さんがたくさん来てくださるというのは嬉しいですよね。
朝枝:うん。ひとりでも多くの人に観ていただけるのはやっぱりありがたいです。
与いち:寅の子会は新しいお客様が多いのも嬉しいんです。初めて落語を聴く!というお客様が結構いらっしゃいますもんね。
朝枝:そうそう。コロナになってからは基本的にあまり旅の仕事(※地方での落語会のこと)がなくて、ずっと都内での落語会なんですよね。そうすると、新しいお客様に観ていただくチャンスがあまりないというか……。落語会を開いても、なかなか情報も広がりにくい状態ですから、寅の子会きっかけで新しい方が来てくださるのは本当に嬉しいんですよ。
――おふたりにそう言っていただけるとさらにやる気になりますね。こちらのスペースで会を続けるのであれば、そのうちにゲストをお呼びしたいなあ、なんて考えたりしてます♡
朝枝:そうですね。最初のゲストには……、ってまだ企画段階ですけどね(笑)。
与いち:おっと! そのときは僕は前座で一席!
朝枝:そのときは全員1席ずつだよ(笑)。
――本当に夢は広がりますね。おふたりとも、ぜひお力を貸してください!
与いち:どうしよっかなーーー(笑)。
――話はいきなり変わりますが、おふたりは4月にそれぞれ24歳、36歳になるわけですよね。お誕生日に今まで貰ったもので、一番思い出に残っているものってありますか?
与いち:野球盤です。野球盤。小学3年生くらいのときかな。
朝枝:なんでそれが一番の思い出なの?
与いち:それくらいしか娯楽がなかったんですよ(笑)。だからすごく印象が強くて。
朝枝:それが欲しかったの?
与いち:欲しかったんですよ。レバーを引いてパッと離すとバットが回るというシンプルな仕様ですが、楽しかったですね。アレ、レバーを引いてグッと前に押し出すと場外ホームランになるんです!!! 男兄弟のところには絶対にありますよ、ねぇ、兄さん?
朝枝:うちも男兄弟だけど、なかったよー(笑)。
与いち:ええええ? 弟さん、いらっしゃいますよね?
朝枝:うん。でも誰ひとりとして、スポーツに興味を示さない(笑)。野球って何?って感じ(笑)。
与いち:サッカー盤とかモノポリーとか、人生ゲームとかツイスターとか、いろんなボードゲームがあると思うんですが、その中で一番楽しいですって!
朝枝:それよりもツイスターはボードゲームなの?(笑) おかしくない?
――朝枝さんは誕生日に貰ったもので印象深いものはありますか?
朝枝:うーん……。貰った覚えがなくて……。
――出ました!!! 前回のチョコレートもそうでしたけど、「覚えがない攻撃!」(笑)
朝枝:でも、ひとつ思い出があって。親父が飲食店をやっているので、鰻を焼いてくれるんですよ、誕生日に。
与いち:え。めっちゃいいじゃないですか。ご家族みんなの誕生日に焼いてくださるんですか?
朝枝:いやいや。私とか弟の誕生日のときに。子どもの頃でしたけど、親父に「学校の帰り、店に寄っていけ」って言われるんです。で、行くとお土産みたいな状態にしてくれていて。
与いち:えええー! すごい。カッコいいですね。
朝枝:小学校のとき、ランドセル背負いながら、鰻のお土産をうちに持って帰るという(笑)。
――それは、朝枝さんのリクエストなんですか?
朝枝:いや、親父がやっていたことですね。学校の帰りに来いよっていう感じで、行くと焼いてくれた鰻を持たせてくれて……。私と弟の分が用意されていました。
与いち:何だかずるくないですか、その話(笑)。めっちゃいい話だもん!
朝枝:え、与いちの実家もお店やっているから、あるでしょ? ナポリタン屋さんでしょ?
与いち:ナポリタンなんて、四六時中食べてますから(笑)。誕生日に渡されても……(笑)。
朝枝:「帰りに店に寄って行けよ、ナポリタンあるから。おめでとう!」って感じで(笑)。
――お父様から鰻、お母様からケーキっていう感じなんですか?
朝枝:そうですね、そういうこともあったと思いますが、すごく記憶に残っているのは鰻です。
与いち:いいなぁ、それ。なんかカッコよくて……(笑)。
- photo by SHITOMICHI
- interview and text by MIHO MAEDA
- profile
- 春風亭朝枝(しゅんぷうてい ちょうし)1986年4月12日生まれ 丙寅(ひのえ とら)2015年2月16日、春風亭一朝に入門。
- 春風亭与いち(しゅんぷうてい よいち)1998年4月5日生まれ 戊寅(つちのえ とら)2017年3月、春風亭一之輔に入門。
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