interview
春風亭朝枝×春風亭与いち
vol.6 第二回【後編】
一門は“家族”と同じ。だからこそ、ふたりでやれるのが楽しい!
朝枝さんは春風亭一朝一門の末っ子弟子。そして、与いちさんは春風亭一之輔一門の二番弟子。一之輔師匠が一朝師匠の二番弟子なので、朝枝さんと与いちさんは、一門の中で叔父・甥っ子という繋がりになります。とはいえ、香盤的には2年の開きしかなく、前座修行も一緒にこなした近しい存在。前回の寅の子会を終えて約4カ月経ちましたが、遅ればせながらの『打ち上げ』(※あくまでもテイで)ということで、おふたりにお時間をいただき、恒例の対談を行っていただきました!
――与いちさんはどんなタイプですか? “出来る次男坊”という印象ですが。
朝枝:運動神経良さそうだよね。
与いち:中学校まではサッカーはやってましたけど……。兄さんは?
朝枝:何もやってない。帰宅部
与いち:でも中学のときは何かしら入らないとダメですよね?
朝枝:一応、籍だけは入れてたけど……。最初は野球部。でもあまりにも「練習に来い!」というのが激しいので野球部から抜けて、次はテニス部。
与いち:なんでそんなにハードルが高そうなところにばっかり行くんですか(笑)。
朝枝:仲の良い友達が野球部とかテニス部にいたからなんだけど……。でもやっぱり厳しくて「来いよ、来いよ」って言われるから抜けて、当時『パソコン部』というのが出来たので、そこに入ったんです。
与いち:それは良さそうですね。じゃ、プログラミングとか出来ちゃうんですか?
朝枝:ううん。何もやってない。ここでも帰宅部。籍だけ入れてる幽霊部員だから(笑)。途中で『パソコン部』が『科学研究部』と名前を変えたんですが、それも知らなくて。
与いち:籍を置いたまま名前が変わってたんですか!兄さんの中学時代の話なんて、すごくレア(笑)。
――多分、マクラでも一生出てこないですよね。
朝枝:確かに。今の話から古典落語に入るのは非常に難しいと思います(笑)。
――ふたりとも運動はしてないんですか?
一之輔師匠は結構歩くっていつもおっしゃってますよね。真一文字の会で「浅草からここ、国立演芸場まで歩いてきたんですが〜」ってマクラで。
朝枝:私も散歩はするんですが、それはもう散歩じゃないですね。
与いち:旅人です(笑)。浅草から国立は、間違いなく旅人です。やっぱり身体を気にしているんじゃないかと思います。忙しいから、少しでも歩けるときに歩くんじゃないですかね。三三師匠もめちゃめちゃ歩かれるんですよ!
僕はまあ、運動しなくてもまだ健康でいられる自信があるというか……。兄さん、大師匠の鞄を預かって小石川から鈴本まで歩く!とかしないんですか?
朝枝:しない。電車に乗っちゃう。ゆっくりゆっくり歩く散歩は好きなんだけど……。
与いち:歩きながら稽古したりします?
朝枝:うん、してる。歩いてなくてもいいんですけどね。(噺を)さらうことができれば。
――常にお稽古しているんですよね、おふたりとも。普通のサラリーマンより、よっぽどきちんとお仕事されていると思います。
朝枝:いやいや、とんでもない!!それはあり得ません。もう、遊びの延長みたいなものですから。
与いち:本当にそうです。高校のときから、やっていることがまったく変わらないですもん。
――ちなみに、今日の撮影の感想を聞かせてください(笑)。
与いち:カッコつけるって難しいですね……。バーミモザの扉を開けるという仕草だけでハマっちゃって(笑)。真剣にやっているのにスタッフの皆さんがすっごい笑うんです。
――(笑)。笑いを取らなくていいところで、必ず笑いを取ってくるんですもん、与いちさん。みんなに「寅さんみたい」って言われて。今回の撮影用イメージ写真に宝塚男役トップスターの写真を用意したんですが、カッコつけることを宝塚用語で“キザる”って言うんです。
朝枝:キザる! キザらないのがいいっていう教育ですからね、私たち噺家は(笑)。
――それはもう、重々承知の上です(笑)。すみません。でもふたりとも思春期があったわけじゃないですか? その頃ってカッコつけたりしませんでしたか?
与いち:確かに。カッコつけてました(笑)。
朝枝:私は、何も考えてなかったですね……。
与いち:ウソ! 兄さん、それ本当ですか。
朝枝:キザってはなかったと思うよ、おそらく。でも、見ようによってはそうだったかも……。なんか、頑張ってた記憶はあります。
――モテようとしてましたか?
朝枝:いや、むしろスゴんでました。目の合わせ方ひとつで本当にやられちゃいますからね、私の地元あたりは……(笑)。だから、常に睨みをきかせてました!
与いち:それはもう僕の“カッコつけてた”とはまったく違う感覚ですよ(笑)。高校にはそういう感じの子がたくさんいたんですか?
朝枝:もう、ほとんどそう(笑)。僕自身はそんな感じではなかったですけど、友人はそういうタイプが多かったので、ある程度、そういったカルチャーにも慣れているというか(笑)。
――面白いおふたりはもちろんだけど、カッコいいおふたりも見たい!というのが女性のココロだと思うので、今回はそこに応えていただきました。大変な企画ですみません!
朝枝:いえいえ。毎度ありがとうございます。ぜひ“キザる”のも高座に活かしていければ、ね。与いち!
『あくび指南』で一之輔師匠がやるキャラクターとか……。あれ、キザってますよね?「家……、建ててます……フッ(ニヤリ)」みたいなヤツ(笑)。
与いち:そうでした(笑)。キザるキャラクター探して、頑張ります!
――今回は与いちさんがトリです。期待してますから(笑)。
与いち:はい!よろしくお願いいたします。
朝枝:トリネタ、期待してるからね!
与いち:プレッシャーかけないでください、兄さん!!!
――ありがとうございました!前回にも増して和気あいあいとした対談で、バーミモザが終始笑いに包まれていました! おふたりの仲の良さがたっぷり味わえる会になりそうで楽しみです。
- 撮影協力
- バー・ミモザ
- 所在地:東京都港区新橋5-7-7 ロイジェント新橋1F
- phone:03-6435-8520
- hair & makeup SHOHEI INOUE
- photo by SHITOMICHI
- interview and text by MIHO MAEDA
- location at BAR MIMOSA
- profile
- 春風亭朝枝(しゅんぷうてい ちょうし)1986年4月12日生まれ 丙寅(ひのえ とら)2015年2月16日、春風亭一朝に入門。
- 春風亭与いち(しゅんぷうてい よいち)1998年4月5日生まれ 戊寅(つちのえ とら)2017年3月、春風亭一之輔に入門。
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