――では、前回ふたりで二人会をやってみて、改めて与いちさんから朝枝さんにこれを伝えたい！とか、逆に与いちさんにこれを言いたい！みたいことはありましたか？

朝枝：与いちはとにかく真面目に質問に答えがちだから。プレッシャーになってもいいから、もっとふざけて答えたらいいのに（笑）。

――朝枝さん、そんなことを振ると『大喜利大会』になりますけど、大丈夫ですか……？

朝枝：あ。そうでした(笑)。与いち、あんまり変なことは言わないように！

与いち：前回は初回ということもあり、来場者の皆様にサイン入りポートレートというのをお渡ししたんです。結構な枚数ありましたよね……。でも、兄さんは一枚一枚、一生懸命サインを書いてました。ちゃんと丁寧に。

朝枝：書きましたねーーー！　私、あまり筆記用具を握ったことがないので。

与いち：は？　兄さん？

朝枝：もう全然慣れてないからどうしても力が入っちゃって……。与いちさんなんて、ひゅるひゅるーって、寝ながらでもイケる！みたいな勢いで書いてたね、サイン。あー、あの力の抜き方、見習いたい♡

与いち：兄さん……。

――……（笑）。今回もお土産をご用意しようと考えていますが……。おふたりにサインをお願いするとしても、前回みたいな莫大な枚数にはしません。もう少し枚数減らすつもりです（笑）。あとはどんなプレゼントになるか、お楽しみにしていただくということで。ところで、お互いに高座を近くで見てみて、こんなことを聞いてみたい！というお互いに対する質問みたいなのはありますか？

与いち：兄さんは、落語やりながらどんなことを気にしているんですか？　毎回自分が気にしているノルマみたいなものがあったりします？

朝枝：ノルマ？

与いち：はい。何というか、高座に上がるたびに自分に課している小さな目標みたいなものです。

朝枝：小さな目標？『いつも通り』かなぁ。

与いち：いつも通りか……。それ、大事ですよね。

朝枝：うん。そうだね。普段通りにやることが目標かも。

――それは「稽古通りにやる」ということ？

朝枝：稽古通りでもあり、自分がいつもやっている通りにやろうという、そんな感じです。「こういう会だから変えてみよう」というのは、あまり考えないんです。本当に、「いつも通り」に。

――なるほど。朝枝さんはこの機会に与いちさんに聞いてみたいことはありますか？

朝枝：聞いてみたいこと？　健康の秘訣！

与いち：僕はお酒呑まないですから（笑）。

朝枝：最近、年齢を重ねてきたでしょ。足腰が……。

与いち：兄さん、35歳ですからねー（笑）。足が痛くなってきてるんですか？

朝枝：足が痛くなるというか……。あのね。使い方を忘れてしまう。

与いち：！？！？どういうことですか？？

朝枝：歩き方とか、昇り降りとか……。あと、震えるの。

与いち：震える！？！？

――シブラクでも柳家勘之助師匠に「なんだ、あのゆっくりした歩き方は！？」と高座までの歩き方を指摘されてましたね……。

朝枝：そうなんです。言われました（笑）。でも、シブラクは2回目で、しかも久しぶりの高座の場所だったんです。だから、どこから登って、この足段使って、こうやって進もうかなというシミュレーションしながら行くと、なんだかあのくらいのスピードになってしまって……。歩くリハをすることなんてもちろんないんですけど、そそっかしいのでコケちゃうといけないから。転んじゃいそうで。

与いち：転んだことあるんですか？

朝枝：転んだこと？ない（笑）。

――朝枝さんとそそっかしいって言葉があまり結びつかないんですけど……。

朝枝：いやいや。私は“そそっかしい”の塊みたいなもので。だから、それを防ぐために“動かない”という(笑)。

与いち：あー。そっちの印象のほうが強いですね。

朝枝：そそっかしいから動かない。じっとしてるんです。だから打ち上げとかで怒られましたもん。「お前は一番下なのに、何でそんなに動かないんだ！」って（笑）。微動だにしないです。動かないこと山の如し、ですね。

与いち：不動明王ですよ、本当に。動かない印象しかないです。

――一番そそっかしいことをしでかした話って何かありますか？

朝枝：それはもう、たくさんありすぎて……。たとえば、ここにグラスがあるでしょ。すると指とグラスの距離感がよく分からなくなるので、指をピンと引っかけてグラスを割ることがよくあるんです。指の長さを忘れちゃうんですよね……。

与いち：兄さん……（笑）。

――引っ越しするときに、柱も一緒に風呂敷でくるんじゃう（※）のを地でいくタイプだったんですね！（笑）本当に意外！

朝枝：あー、それ、やりたいです！！！

※『粗忽の釘』より