interview

春風亭与いち

vol.8 第三回【後編】

夢は大きく、落語界のステファン・カリーに。自分と同世代の人たちを落語ファンにするべく、日夜努力中!

寅年になって2回目の【寅の子会】は満を持して、おふたりの誕生日がある4月に開催! 寅年生まれの朝枝さん、与いちさんとのお付き合いももうすぐ1年になります。今回から会場が【港区立伝統文化交流館】へと移動したので、せっかくなら撮影もここで行いましょうということに。春らしい陽気の中、爽やかなブルー系のお着物で撮影に協力してくださった与いちさんから、インタビュー開始です!

春風亭与いちインタビュー写真

僕と同じ世代の人たちが落語に興味を持ってくれるようにアプローチしていきたい!――与いち

いつになく、真剣な表情の与いちさん(笑)! でも2年目に入って、どんどんチカラをつけてきているのは私たち観客が一番感じていることなので、与いちさんが感じている感覚は間違っていないと思いながら、引き続き、お話を伺います。

――では2年目に入って、新しい目標とかそういうのはありますか?

与いち:早寝早起きです。

――それ、前回の15問15答で言っていたヤツじゃないですか!!!
※YouTubeの寅の子会ちゃんねるをぜひご覧ください! » 寅の子会ちゃんねる

与いち:いや、実は前座のときと比べて、生活サイクルがまるで変っちゃったんですよ。前座のときは超規則正しい生活なので。だから、そこはテコ入れしていかないといけないなぁって思っているんです。

――でもお稽古もきっちりしているし、自分を律しているのがすごいなぁといつも思っています。

与いち:律することができてるんでしょうかね、果たして……。

――いやいや。与いちさんは毎月毎月ネタおろしもしているし、すごくないですか?といつもみんなで話してるんですよ。

与いち:自分でやらないとどうしようもないですからね、本当に。ある意味、自分で会をやることで、自分を追い込んでいるところはあります。そうしないと誰も追い込んでくれないですからね。師匠もよく似たようなことを言っていますが、僕も多分同じタイプなんだと思います。

――今年、年男ですけど、何か達成したい目標みたいなものはありますか?

与いち:目標というか、まず柳亭市馬師匠をゲストでお呼びしている会があるので、それを成功させないと……。とりあえず、目の前の目標はそれです。

※『与いちのありったけ』 5月7日(土)18:45~ 日本橋社会教育会館ホールにて 全席自由 前売¥2,800 当日¥3,000 https://www.mixyose.jp/mix/

――友達を誘って、みんなで伺わないと!(笑) それ以外に、こう、噺家として何となく見えてきたみたいなことはありますか?

与いち:既存の落語ファンの方だけじゃないところを取り込めるようになりたい、と思っています。デカいこと言っていますね(笑)。全然、僕がそんなことができる技量があるわけではないんですけどね。でも、今ある畑だけをみんなで耕すのもいいんですけど、できれば若い世代にもう少し広げていければいいなって思うんですよ。真面目な話をしますけど、落語会に自分と同世代のお客様が全然来てくれないというのは非常に問題なんじゃないかなって感じていて。普通、他の芸能ってだいたい同世代のお客さんが多いじゃないですか。演歌歌手だって同じ世代のお客さんが聞きに来ているし、アイドルも同じ世代のお客さんがコアなファンだったりしますよね。でも落語に関してはそうじゃない。僕と同じ世代が全くいないというのは非常に問題だと思うんです。

――わー。鋭いですね。すごく納得です。

与いち:だから、僕ら世代の人たちを何とか取り込める1年にしていきたいと。うちの師匠も忙しくなってまったくアップ出来てないですけど、具体的な例でいうと、YouTubeの一之輔チャンネルみたいなことですよね。もちろん、師匠のチャンネルは“一之輔”という名前の大きさがあって成り立っているのですが、ほかにも僕らにできることが何かあるんじゃないかと思っています。

――確かに、おっしゃる通り。いまはやはり年齢の高い方が多いですものね、寄席もホール落語でも。でもそれはやがて、いらっしゃらなくなるわけですから。

与いち:はい、そうなんです。たとえば大ホールでの落語会がありますよね。チケットは完売して、皆さん笑っていらっしゃるので会そのものは大成功なんですが、未来を考えたときに若い世代の人がいないと「20年後はどうなっているんだろう?」と不安になります。だから、僕らが僕らの世代に対してアプローチできることをしていかないとって。それが課題ですかね。

今はNBAにどハマり中! 目指せ、落語界のステファン・カリー!!!

前回はアニメにどハマりしていた与いちさん。それは続いているのかなと思いつつ、どうやってリラックスタイムを過ごしているのか、今回も聞いてみました!

――さて、前回はNetflixにハマっていると言ってましたが、最近は何にハマってます?

与いち:バスケです!

――え? 前回はアニメって言ってた気が……。バスケ、やってるんですか?

与いち:いやいや。運動は全然やってないですから、観ているだけです。今はNBAを観てて、大好きですね! ウォリアーズって分かります? そこのチームのファンなんです。

――どこの州のチームですか?

与いち:何州なんだろう? 僕、カタカナ弱いんですよ(笑)。アメリカの真ん中あたりです!
※ゴールデンステート ウォリアーズはカリフォルニア州サンフランシスコが本拠地。

――じゃあ、八村塁選手とか、応援してるんですか?

与いち:ウィザーズですね。あんまり知らないチームです(笑)、塁くんだけ観ている感じですね。 実は今年の9月30日~10月2日までウォリアーズとウィザーズがさいたまスーパーアリーナに来るんですよ! 試合があるんです。絶対に観に行きたいと思っていて……。

――それは好カードですね。チケット取らないと!

与いち:そのウォリアーズの中に、ステフィン・カリーという選手がいるんですけど、その人がきっかけで、ここまでバスケにハマったんです。カリーみたいになりたいです。落語界のカリーに!!!

――来ましたね(笑)。【落語界のカリー】。いいじゃないですか! 寅の子会も応援しますよ♡

与いち:㐂いち兄さんがカリーと同い年なんです。だから、㐂いち兄さんのことを“カリー”と呼んでるんです(笑)。落語界のカリーって! そしたら「でも、俺は全然スリーポイント決められないよ?」って言うんです(笑)。

――ステファン・カリー選手ってポイントガードなんですね? いまGoogleで調べたら出てきました。

与いち:【スリー・ポイント・フィールド・ゴール】ってあるじゃないですか。枠の外から打つシュートです。このシュートの通算功数が歴代1位なんです。歴代ですよ? 引退した選手も含めてってすごくないですか? 現役で、今もその記録を伸ばし続けているんです。ステファン・カリーになりたいですね。

――落語界の、ステファン・カリーですね。

与いち:笑いのスリーポイント、決めたいですね!(笑) そのためにも、さいたまスーパーアリーナ、観に行かないと!

今回はお着物での撮影で気楽だったのか(笑)、撮影もスムースに終わり、インタビューもリラックスした雰囲気で終了。24歳のお誕生日を前に「落語界のステファン・カリーに」という大きな目標もいただけて、寅の子会スタッフは全員与いちさんの将来が楽しみです! 生誕祭の巻では、与いちさんの華麗な【落語界のカリー】っぷりが観られると思います。ぜひ足をお運びください!

  • photo by SHITOMICHI
  • interview and text by MIHO MAEDA

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