interview

春風亭朝枝

vol.3【後編】その1

芝居噺をどんどん覚えていきたい。理想はやはり「師匠の、一朝です!」

春風亭朝枝さんは昨年、2020年2月に二ツ目に昇進されました。お披露目が終わったタイミングでコロナ禍に見舞われてしまいますが、その運命をモノともせず、ひたすらに切磋琢磨。いまでは二ツ目二年目にして、すでに即日完売のチケットが続出するという、大人気の噺家さんへと成長されつつあります。
インタビューの後編では、甥っ子弟子の与いちさんに対する印象や将来への思いを伺いました!

春風亭朝枝インタビュー写真

高座では緊張しないけれど、カラオケは苦手。一門では「朝枝は歌わない」と認識される。

昨年ネタおろしされた『淀五郎』は、芝居噺と呼ばれるジャンルで【演劇、特に歌舞伎の演目や役者の評判などの話】(出典:コトバンク)、朝枝さんが「どんどん習っていきたい」とおっしゃるもの。

――『淀五郎』はネタおろしを拝聴させていただきましたが、これからも充実させていきたいのはそのジャンルですか?

朝枝:朝枝:そうですね。芝居噺です。『中村仲蔵』とか『七段目』『四段目』……。芝居噺はうちの師匠が得意としているものですから。私は歌舞伎に関してまったく知らずにきたのですが、色々な機会で観させていただいているうちに、徐々に面白いなと思ってきまして。

――やはりそういった芝居噺は一朝師匠から習いたいんですか?

朝枝:はい。師匠が持っている噺は、すべて。

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――とても当たり前のことですが、与いちさんも朝枝さんも、ご自身の師匠に対する愛に溢れていて、すごくグッときます。大好きなんですね。

朝枝:大好きです。でも「大好き」というと失礼かもしれません。弟子が師匠に対して口に出す言葉ではないですからね(笑)。

―話は変わりますが、高座に上がるのは緊張されるんですか?

朝枝:上がるまでは緊張してますが、上がったら、しないです(笑)。上がったらもう一生懸命に。

――朝枝さんは、高座に座られたらお客様としっかり目を合わせますよね。しかも、いつも上手のほうからまんべんなく見ているような気がします。

朝枝:え。そうですか?言われるまで気づきませんでした。みなさんやっていらっしゃらないんですね……(笑)。

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――いえいえ。それぞれのクセがある感じです。朝枝さんはとてもよどみなくお話される印象ですが、飛んで真っ白になる……なんてこと、ありますか?

朝枝:ありますよ。飛ぶとまた緊張しちゃいますね……。

――もうひとつ伺ってみたいことが。朝枝さんはご自身の“声”についてどう思っていらっしゃいますか? すごく魅力的なお声だと思っています。

朝枝:ありがとうございます。声について特に意識したことはないのですが、以前、とある師匠に「誰に似ているというのがない。他にいないから、そのまんまで頑張れ」とおっしゃっていただいたことがあります。

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――でも、歌とかとても上手そうな気がするのですが……(笑)。

朝枝:いやいや。下手なんです。カラオケとか、本当に全然ダメでして。夏に一門のカラオケ大会があるのですが(※)、師匠を筆頭に皆さん歌われるんですけど、私は何もできないので……。そのカラオケ大会でも一度も歌ったことがなくて、「朝枝は歌わない」で通っています(笑)。(※コロナ禍以前のお話です)

――でも、芝居噺を習っていくと、どうしても唄に行きつきますよね?

朝枝:『稽古屋』なんかをやると、そうですね。そういうところから、もしかしたら……。

――美声が聞けるかも?

朝枝:いや、そういうことではなくて(笑)。恥ずかしくて、人前で歌うなんて、本当にもう……。

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  • photo by SHITOMICHI
  • interview and text by MIHO MAEDA